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漂石彷徨



心の隙

前日の晩に電話をして、Sさんに十一面のベルジュエールに一緒に行ってもらう事になりました。Sさんには山の壁やマルチピッチの経験はありませんが、不動沢や末端壁で2~3ピッチのルートは結構登っており、今年の梅雨時期から一緒にクラックをやってきて、カサブランカなどは楽にRPするまでになっていたので、問題は無いと考えました。

金曜9時に西船を出ると、11時には須玉に着いていました。道は空いていました。

7:20芝生広場発、8:30取り付き、9:00登攀開始、12:00白熊のコル、15:00十一面岩ノ頭、16:00取り付き、17:40芝生広場着。

6時間は少々時間がかかりすぎですが、Sさんはこの手のルートが始めてであり、各ピッチで靴を脱いで休んだり、可能な限りSさんにもリードしてもらえるように所々でリードを交代し、つるべでは登らなかった事等を考慮すれば、止むを得ません。

1P目(5.11b/c 30m) 
私がリード。南裏さんが打ち替えて下さったペツルのボルトは位置が絶妙で無駄が無く、快適に登ることができました。オンサイト出来て嬉しかった。グレードは5.11a位に感じました。仮にこれをリングボルトでやったら印象は変わると思います。

2P目(5.8 30m) 
私がリード。スラブに張り出したハングのヘリに沿って左上。5.8にしては悪く感じます。残置ハーケンが沢山残っています。

3P目(5.7 40m) 
Sさんリード。フレークやアナポコを登って、左側の木が生えた凹角へ。ハンドクラック直下のリングボルト2本でビレー。(ハンドクラックにバックアップを取っていただきました。)終了点のレッジの木は腐っていました。

4P目(5.10a 10m) 
Sさんリード。抜け口付近のクラックが細くなったあたりで内側がすべすべになります。足を拾って白熊のコルに這い上がります。白熊のコルで靴等をデポ。

5P目(5.10a 20m) 
私がリード。不注意からルート全体としてのオンサイトを逃してしまいました。右壁の大きな足場を見落として、ワイドクラックの中で腕の向きを変えようとした時に滑り、戯れにきめたトライカムの7番で止まりました。ムーブとして悪いところは全く無く、プロテクションもキャメロットの4番が一個あれば怖い思いをしなくて済みます。左上するフレークはガバなので、ランナウトしても不安感は全然ありません。だから痛恨の極みです。油断したとしか言い様がありません。

6P目(5.7 30m) 
私がリード。ルート中の事実上の核心部でした。チムニーの中でとれるプロテクションは錆びたリングボルト1本だけでした。抜け口のハンドジャムが効いた時は本当に嬉しかった。

7P目(5.10b 50m) 
私がリード。廊下状になったチムニーを前方に登っていって、左のスラブに移ります。バンドにはビレー点がありましたが、ランナーにして更に登り続けます。左上クラックはレイバックからハンドジャムを右、左、右の順にきめて、左手で丸いフレークの縁を取って、再びレイバック気味に身体を上げます。手順が面白いです。浅い凹角を辿っていると十一面岩ノ頭が見えてきます。

8P目(Ⅲ 40m) 
Sさんリード。快適な岩稜帯です。下にあったら面白い課題が設定できそうなボルダーが沢山ありました。松の木のあるコルでビレーをします。

9P目(5.8 20m) 
クラックの入り口にハンドジャムをきめるまでが結構悪いです。一段上がるとケルンが積んである岩があって、その隣が十一面岩ノ頭です。這い上がるまでの2、3歩のスラブがそれなりに悪いです。頂上からは近隣の山々が一望できます。不動沢の岩場も、芝生広場も丸見えです。遠くMt.FUJIが望めました。

下降は、松の木のコルまで20m位懸垂し、そこから本峰の方向に歩いていきます。しばらく裸足で歩いたのですが、砂利が刺さって痛かったので、直ぐにクライミングシューズをはきました。
所どころ分かりにくいところもありますが、概ね踏み跡は明瞭です。一箇所で20m位の懸垂をした他は、残置をゴボウで降りました。デポした靴を回収するため、白熊のコルに戻らなければなりません。目安を付けて藪をこいだら、モアイフェースの頭まで歩いて行くことが出来ました。
本当の白熊のコルは藪をこぐまでも無く、はっきりと分かります。

聞きしに勝る良いルートでした。天気も良くて助かりました。
by tagai3 | 2005-09-19 08:36 | クライミング | Comments(0)
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岩登りについての所感

by tagai3