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漂石彷徨



アイディルワイルド雑感6

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サウスリッジ サウスリッジ・アレート(B1)
 「真に賞賛すべき課題は、ボルダー・フィールドの中央部に位置している。東に面した美しいアレートは、身体的且つ精神的困難さに対する挑戦の要素を兼ね備えた課題を提供している。コロラドのスキップ・ガーリンは、70年代末にこの課題を初登した。その時彼はウラシマツツジの藪の中にコカインの小瓶を見つけ、この課題にはにはそれにちなんだ名前が付けられたが、彼自身を含む誰もそれを覚えていなかったので、現在では単に「サウスリッジのアレート(B1)」と呼ばれるようになった。」(ストーン・クルセードより)
 この名前に対する淡白さが非常に好ましい。ボルダーはこうあるべきだと思う。とにかく見栄えのする美しい課題。登れなかったことが非常に悔やまれる。B1となっているが、V6であることはあり得ない。少なくともV8からV9以上はあるだろう。是非とも再訪したい。

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レラティビティ スピード・オブ・ライト(B2)
 「レラティビティを代表する課題は、ロングによる「スピード・オブ・ライト」である。ロングの「パンピング・グラニット」によれば、『半ば冗談だが、世界最長のダイナミックムーブであり、岩のバルジが6フィート(約180cm)ものブランクセクションとして、ハンドホールドの間を隔てている。』 確かにそれなりに距離はあるが、もっと遠いランジは他にもあるだろう。存在しないのは、これよりも更に遠いダブルランジである。(中略)足の置き方も素直ではない。横方向に捉えるホールドはスローパーとなっており、かろうじて両手で掴める程度である。完璧に捉えなければ、後に続く‘振られ’を抑えることは、完全に不可能となる。仮にこのダイノをこなせたとしても、それが完登することに対しての何の保障にもならない。何故ならば、これに続く抜け口のマントルを解決する鍵は、これを以上の力の発揮を要求するからである。(中略)ジョン・バーカーによれば、これを初登した当時のジョン・ロングは、彼がクライマーとしての絶頂期を迎える前の段階であったという。」(ストーン・クルセードより)
 ブランクセクションに小さなクリンプホールドが2つあり、私はそれを使ってランジを解決した。抜け口のマントルもイメージはできたのだが、指皮がめくれたことで断念せざるを得なかった。
 ストーン・クルセードにはもうひとつ、レラティビティ・フェース(B1)が取り上げられている。写真の裏側だが、垂直よりもやや傾斜が落ちたフェイスには、一面苔が戻っており、もう数年間、誰も触っていないことを覗わせた。トップのチキンボルトを確認しようと思ったが、指皮のこともあったので諦めた。

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「光の速度実験」記念碑の前で
 レラティビティー・ボルダーの手前には、ノーベル賞を受賞したミヒャエル・マーレーによる1926年の「光の速度実験」の記念碑が建っている。この実験は、アインシュタインによる相対性理論を実証するための重要な証拠となった実験であり、ジョン・ロングはこの実験にちなんで、この地のボルダーに「相対性理論」にちなんだ名前を付けた。課題名も「光の速度」である。
by tagai3 | 2006-09-17 22:55 | クライミング | Comments(0)
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岩登りについての所感

by tagai3