人気ブログランキング | 話題のタグを見る

漂石彷徨



奥久慈と丹沢

6月7日(日)
タツワレヤマを見に行く。太刀割石の立っている方の側に可能性があるのかを確認したかったからだ。結果としては、オガワヤマの不可能スラブを110°に被らせたような形状に弱点はほとんど無く、不可能と判断せざるを得なかったが、山の中にはこの他にも幾つか興味をそそられる岩塊があったので季節が良くなったらまた行きたいと思う。
帰途、かつての里美村観光協会のホームページに載っていた「小中の大石」を見に行く。散々迷った挙句、駐在さんに案内してもらってまで辿り着いたそれは、高さ1m程の礫の塊だった。

6月13日(土)
キュウハ沢を遡行し、天王寺尾根を下降する。最初の連瀑帯2番目に出てきた5mの滝は、水流を浴びながら胸まで浸かって左岸に渡り、傾斜のない凹角を登った。水は冷たく、飛沫で息が詰まりそうだった。上部3mの滝では、妻を引っ張り上げようとした拍子に後ろに倒れて、危うく滑りそうになったが、大事には至らなかった。連瀑帯最後の5mの滝は、水に浸からなければ取り付けそうにないため、寒さに怖気づいて右岸から高巻いてしまった。キュウハの大滝10mの凹角は水流から離れ、飛沫も届かない。「直登」の定義ってなんだろう。心配したほど脆くもない。「東京周辺の沢」ではⅢ級A0となっているが、Ⅳ級位のフリーで登れた。むしろ残置に体重を預ける方が心もとないと思った。大滝の少し上で、噂に聞いたことのある戦闘機のエンジンの残骸を見た。2段10mの滝は、「東京周辺の沢」では右壁を登る旨の記載があるが、残置は上流に向かって左側にあったので、そちらを登った。大ガラン沢分岐を過ぎると水がなくなり、分岐から3mCSの滝が見えた。上部の10mの涸滝は、非常に脆かったのでロープを出した。8:30塩水橋発、9:35キュウハ沢出合、15:10~15:40丹沢山、17:40本谷橋、18:00塩水橋着。遡行時間は5時間35分。白山書房編「東京周辺の沢」の標準コースタイムより約2時間30分余計に時間がかかった。ロープは3箇所しか出していないので、歩行速度に問題があるように思う。翌日以降は筋肉痛が辛く、体力の衰えを感じた。帰路、林道から魅力的なボルダーが見えたので、近いうちにまた見に来ようと思った。別所温泉に寄ってから帰る。700円。

6月20日(土)
もみそ沢に行く。大倉のバス停を通過したのが8時半頃。戸沢林道でも沢山のハイカーを追い越した。新茅山荘の駐車場には既に10台以上の車が止まっている。新茅橋手前のカーブミラーから踏み跡を辿って沢に降りると、対岸に懸垂岩が見えてきた。始めて見る懸垂岩には、多くの人が取り付いていた。その様子に一瞬入渓を躊躇うが、沢に入れば人影は見えなくなった。
モミソ沢はこぢんまりとした狭い沢である。水量は少なく、ところどころで水が澱み、お世辞にも美しい沢とはいえない。入渓後しばらく小さな滝が続く。沢が右に屈曲する辺りの3段11mの滝も、通り過ぎてからそれと気付いた。5mのチムニーにはみすぼらしいロープが残置され、美観が著しく損なわれていた。大棚直下2段8mの涸滝の落ち口を崩落した巨木が塞いでいたため、ここは右岸から高巻いた。大棚下では4、5人の学生が休憩していた。ここで始めてロープを出す。下部は階段状で全く問題にならない。落ち口付近も、右に面した逆層のスタンスがやや悪いものの、Ⅳ級の範疇を超えるのものではなかった。
余談になるが、大棚の核心部と3段11mの滝の落ち口付近で、比較的新しいオールアンカータイプのハンガーボルトを見つけた。何故、ボルトを埋める前にリスを探してハーケンを打とうとしなかったのか。余りにも安易である。これを打った者は、別の場所でも同様の行為を行うかもしれない。深く危惧するところである。
大棚の上から少し歩いた所で運動靴に履き替える。9時半に登り始めて、ここまでおよそ1時間。ほぼコースタイムどおりである。尚も涸れた小沢を辿り10時過ぎに大倉尾根の堀山直下に出た。大倉尾根はハイカーで溢れ返っていた。小休止の後、鞍部から東側の斜面を下る。やがて明瞭な踏み跡が左から合流し、流れノ沢の水流に行き当たった。どうやらここは山の家の水場になっているようだ。流れノ沢は水量も多く、比較的美しい沢だった。途中3箇所程の滝が出てきたが、全て簡単に高巻くことができた。最上部の滝の巻き道には、林業用と思しきトラロープが残置されていた。およそ1時間で戸沢出会に着いた。水無川を渡って靴を脱ぐと、水と一緒に蛭が出てきた。個人的には、モミソ沢の遡行よりも、流れノ沢の下降の方がずっと面白かった。

その後、ヤビツ峠を越えて、先週見つけたボルダーを見に行った。車止めから30分歩いて川原に下りてみると、何とチョーク跡がある。まあ、これだけ目立てば登られていない方がむしろ不思議というものだ。再び林道に戻り、更に上流にある最も有望と考えていた石を見に行く。辿り着いてみると、そこにもチョーク跡があった。その石の外観には見覚えがある。よくよく思い出してみると、以前友人のホームページにも紹介されたことのある非公開の石だった。失望感は否めないが、気を取り直して登ってみる。正面はSDでスタートして3級位だろうか。色々な限定をして少しの間遊んでいた。
帰路、かぶと温泉に立ち寄る。1時間1,000円と割高だが、建物には風情があり、旅館の雰囲気も悪くない。強めのアルカリ泉は素晴らしく、値段に見合うだけの価値はあると思う。
by tagai3 | 2009-06-16 22:46 | クライミング | Comments(0)
<< 感じたこと おでんくん >>

岩登りについての所感

by tagai3