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漂石彷徨



9月

9月19日(土)
6時前に家を出たが、国立府中から先は既に渋滞が始まっており、そこからは国道20号をたどって奥多摩に向かった。途中秋川で朝食を摂り、9時頃にかわいのキャンプ場に着いた。テントを張った後、10時頃に登り始める。翌々週に迫った旅行に備え、指の皮に負担を与える課題は触らないことにした。「もろへいや」という課題を触る。結晶が尖って痛いホールドばかりだが、足を確実に置ければ問題はないようだ。右下のアンダーからSDでスタートする。2つ並んだ斜めのホールドで身体を切り返し、両足を高く開いて左手をとばす。ここから右手を添える動きに拘泥して何度か落ちたが、左手をもう一度とばせば難なく身体は上がっていった。
登攀という行為において最も重要な要素が筋肉間の協調性であるとすれば、睡眠不足は最悪の状態なのかもしれない。登り始めて2時間と絶たずに激しい疲労と眠気に襲われた。また、蒸し暑くはないが藪蚊が多く、服の上から背中中を刺されて痒くて仕方がない。そんなこともあって一旦テントに戻り1時間半程昼寝をした。
夕方少しだけみたけを見に行く。青梅駅前での夕食の後、かんぽの宿の温泉に浸かり、9時前には床に就いた。耳栓していて気づかなかったが、外はかなり騒がしかったようだ。

9月20日(日)
7時起床。最寄のコンビにで朝食を買った後、キャンプ場の一番大きな石の傾斜の緩い面にロープを固定して、プルージック登りとユマールの練習をした。昼前に移動。氷川駐車場に車をとめ、駐在所の隣の食堂でカツ丼を喰った後、駅前のバス停に行ってみるとバスは出たばかりだった。次のバスは1時間後である。学生時代の記憶では30分位で歩けたような気もする。思わず歩き出していたが、暑さと疲労でうんざりしながらシロタエバシに到着してみると、5分も経たずに乗る筈だったバスが走り過ぎていった。岩場には誰もいない。日陰を求めてしばらく河原で放心する。沢の水に腕を浸したり、飴玉をなめたりして、ようやく登る気が湧いてきた。
「ものろーぐ」を見に行く。ラインは明瞭で非常に美しいが、結構な高さがある上、下地には大きな石がゴロゴロしていて見るからに危険そうだ。磨かれた石灰岩のホールドは大きく見えてもポイントを外すと上手くつかめないことが多い。高さもあるため安易に大きな動作もできないだろう。30分近く観察した後、とりあえず触ってみることにした。カンテ右側の小さいクリンプからカンテ左側の逆三角形状の突起を取ろうとしたが、距離があるのでそのままでは届かない。カンテ左側のわずかなふくらみを押さえつつ、左足のヒールフックに乗り込むと何とか指先が届いたので、そのまま右足を上げて身体を左にずらしながらそのホールドをつかんだ。指先にかなりの負担がかかり、あまり余裕はない。ここから左上の斜上クラックを目指すようだが、どこがどの程度効くのだろうか。つかみ損ねて左に振られれば、大きな石の上に落ちるのは多分間違いないだろう。決心がつかないまま、一旦降りることにした。慎重に降りたつもりでも、緩衝材の潰れた8年前のマットはあまり役に立たず、かなりの衝撃があった。対岸ではSが氷山岩で遊んでいる。しばらく迷ったが、少しだけの約束でマットを借りてスポットに立ってもらう。次のトライでは、水平クラックの右側を叩いてつかみ損ねたが、上手い具合にマットの上に落ちることができた。カンテの右手のクリンプは、躊躇している間にヌメってしまうようだ。最後のつもりで取り付いた次のトライでは、三角形の突起を取ってから十分にチョークアップした。三手目として使ったわずかなふくらみに左脚を押し付けて左手を飛ばす。前回よりもやや左を狙うと、ありがたいことにとまってくれた。そこから上部のホールドは大きいが、高さがあるので慎重に足を運ぶ。抜け口の藪は不快だが、登れて本当に嬉しかった。印象に残る、とてもいい課題だった。
とけたアイスクリームの岩には大きなスズメバチの巣があったので、15時半ごろに撤収を決めた。大沢バス停まで歩き、16時半のバスに乗る。バスは10分足らずで駅に着いた。
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9月21日(敬老の日)
疲れてしまったので、青梅の赤塚不二夫記念館を見学し、そのまま帰路に就いた。
by tagai3 | 2009-09-25 20:15 | クライミング | Comments(0)
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岩登りについての所感

by tagai3